コロナ禍入社の社員が聞いた、海外拠点ウィズコロナの実情[タイ編]
新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから1年以上が経過しました。情勢回復が見られている国はあるものの、未だにどの企業も日々変わる状況により、対策に悩まされています。[セカイのチカラ] 編集部の私、カミジョーもコロナ禍にB-EN-Gに入社。編集部の一員でありながら、現地を知る機会をなかなか作れずにいました。
そこで、「コロナ禍における海外拠点の実情」について、B-EN-Gの海外拠点である、アメリカ、インドネシア、シンガポール、タイ、中国の各駐在員に話を伺うことにしました。
このシリーズを通じて、海外拠点がある日本法人の方に少しでも現地の状況や業務遂行のヒントを提供したいと考えています。コロナ禍に入社した私、カミジョーがお伝えする海外拠点ウィズコロナの実情、今回はB-EN-Gタイ 副社長の渡邉祐一さんに話を伺いました。
取材日:2021/07/14
各国のコロナ状況を聞いてみた
渡邉さん、初めまして!今日はよろしくお願いします。
ニュースなどでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、まずは改めて2021年7月14日現在の、タイのコロナの状況を教えてください。
カミジョー
コロナ禍の2020年3月にビジネスエンジニアリング(以後「B-EN-G」)入社。
海外事情を学ぶために「セカイのチカラ」編集部員として、海外進出している日系企業の活躍や実態の発信に取り組んでいる。グリーンチキンカレーと四川麻婆豆腐が好き。
タイでは 2021年7月9日からロックダウンが発動しています。2020年3月から何度も緊急事態宣言の発出や延長がされていますが、今回は外出禁止などさらに厳しい措置となっています。
タイのワクチン接種率は2021年7月14日現在、1回接種の比率でも人口比約15%と低い状況で、私の接種もまだ見通しがたっていない状況です。
(その後、7月15日に申し込みができ、7月17日に1回目のワクチンを接種)
渡邉 祐一(わたなべ ゆういち)
2000年、B-EN-Gに入社。主に製造業向けのERP関連業務に従事。2011年よりタイ拠点に赴任しmcframeビジネスの組織を立ち上げた。2016年よりIoT製品の取り扱いも開始。プロジェクトマネージャーとしてタイ国内で複数のシステム構築を経験した。2018年より現職。
ロックダウンが発動したばかりなのですね。インドネシアも現在ロックダウン中と聞きました。(※コロナ禍入社の社員が聞いた、海外拠点ウィズコロナの実情[インドネシア編])
タイでの生活ではどのような影響が出ていますか?
レストランではお酒は出ません。学校、イベント、子供が遊べる場所は閉鎖されています。B-EN-Gタイのオフィスがあるバンコクでは「20人以上の集会は禁止」などがありました。
教育機関も感染拡大当初からオンライン教育に移行しています。
バンコクにあるアソーク交差点。左がコロナウイルス流行前。右が2021年8月現在の様子。
日本と同じような対策が取られているようですね。過去の記事を拝見しましたが、かなり早い段階からオンライン教育を実施されていたのですね。
海外拠点のビジネスシーンはどう変わったか?
テレワークはタイでも浸透したと思いますが、社内メンバーやお客様との業務上のコミュニケーションで変化はありますか?
この状況下なので、お客様とは、システム導入やビジネス自体のこと以外に、 “WorkFromHome(ワークフロムホーム)/在宅勤務“について情報交換することが増えました。
「社員の在宅対応をどうしているか?」「給与、手当で考慮していることはあるか?」など、日系企業同士で対応方針を共有していました。
給与や手当の部分までも話題に上るんですね。各社事情はあると思いますが、信頼している相手じゃないとなかなか相談できないのでは…?と思いました。
お客様も同じ悩みを抱えているケースが多く、日常生活の悩みも含めて、お互い話せる関係性になることで、業務上の課題も気軽に相談できることも往々にあります。このような状況になったからこそ、日ごろから何でも話せる関係づくりが重要だと感じています。
“お客様”でもありますが、日本人同士の“同志”という関係性でもあるのでしょうか。
渡邉さんと関係性が深い企業は「海外拠点がある日系企業」だと思いますが、お客様のIT投資に対する意識は変化がありましたか?
海外拠点側のIT投資は「日本拠点がコロナの打撃をどのくらい受けたか」に依存する傾向にあると思います。
また、海外拠点側の人員リソースは限られるため「将来に向けたIT投資」より「まずは今の現場を回す」ことが優先されるケースもありました。
システム導入という視点で考えると、複数拠点にまたがる大規模案件については、関係者も多く当初計画していた通り進行していたように思います。一方、少額からスタートできるような影響度が低い投資は抑えめだった印象です。
”ワークフロムホーム”は世界的な浸透があったと思いますが、会社ごとの様々な事情により、デジタル化が進んだ範囲に差が生まれていたようですね。
この1年、B-EN-Gタイのメンバーはお客様と協力しあいながら問題を乗り越えてきたことがわかりました。
その中で、取り組んで良かったと思うことはありますか?
”ワークフロムホーム”によって、あまり考えずに行っていた社内外の業務を見直すきっかけになったのはとても良かったです。例えば、社内承認を得るための無駄な印刷を減らすことができました。一方、システム導入プロジェクトでは、正直、要件定義フェーズでは苦労をしています。顔を合わせてその場で話すからこそ、どれくらい情報が伝わっているか読み取りながら打ち合わせを進めることができますが、ロックダウン中は一切会うことができません。Web会議のみではどこまで伝わっているか判断するのが難しく、認識のズレが発生することが増えたと思います。
そのため、事前に分かりやすい資料を作り込んで、資料を起点に認識を合わせていくことを意識的に行っています。あとはWebでいかに話しやすい雰囲気を作り出すか、これがポイントだと感じています。
B-EN-Gタイの社内会議。社員はほぼ全員自宅から参加。デスクも感染対策として仕切られている。
緊急事態だからこそ、情報を残す形でうまく伝えることがトラブル回避策になる、ということですね。
B-EN-Gもお客様もそうだと思いますが、海外拠点側の事業活動がコロナ禍でも止まらず進み続ける工夫を施されているからこそ日本側も前進できているのだと思いました。
本日はどうもありがとうございました。