Aey、Bell(Photo credit by Ms. Donsuk Udomrussamee)

※本記事の英語翻訳版はこちらからご覧いただけます(English translated version is here)。

アジアの日系企業では、幹部社員のローカル(現地人)化が課題となっており、タイもその例外ではない。B-EN-Gタイでは、8人いる管理職のうち3人がタイ人。女性の社会進出が進む同国を象徴するかのように、全員が女性だ。今回はその中からエイとベルのふたりを紹介する。

故郷のラノーンから眺めるアンダマン海


頼れる漁師の娘

エイ(Kornnaran Panguthai)は、3年前に本部長(Division Manager)として中途採用した。12年務めた前職のシンガポールIT企業では営業部長を経験し、現在担当するのは、製品別に分かれる2部門のうち生産管理系の「mcframe CS」とIoT関連システム「mcframe IoT」を扱うソリューション2部。「エイの醸し出す力強さにビビッと来た」と採用を担当したDeputy Managing Directorの渡邉は当時を振り返る。

事業全体の数字や予算の管理、人材育成など業務の幅は前職より広がった。当初はフォローが必要な場面もあったが、徐々に任せられる範囲が広がっていったという。渡邉が特に成長を感じたのは、自分の担当部門に限定せずに、他部門とのシナジーを考慮した事業計画やプランニングをするようになったこと。会社が扱う製品と関わる社員、顧客のニーズを広い視点で捉えられるようになった。エイ自身、チームダイナミクス(力学)を大切にしており、「個々のメンバーの強みや、部署の強みを最大限に引き出すことで、顧客により良いソリューションを提供できる」と話す。漁師の娘だというエイさん。広い視野は大海原で魚と天候を相手にする血筋か。

仕事も全力投球しているベルは、同僚たちとの食事でリフレッシュしている


「まるで父親のようだ」

エイの下で部長(Manager)を勤めるのが、7年前に新卒で入社したベル(Somurai Krataytong)だ。

「入社1、2年目までは仕事に関する愚痴が多かった」(渡邉)が、少しずつ姿勢に変化が出てきた。きっかけは責任を伴う仕事を任されるようになったこと。「“業務の質”を常に意識している」と本人が言うように、仕事に対する責任感は人一倍強い。ベルが部長に選ばれた要因は二つあり、一つがこの責任感の強さ。顧客に対しても、問題提起から解決まで、何がなんでも遂行するという姿勢で取り組む。

もう一つの要因は、部下に対する指示の的確さ。例えば、業務の優先順位を付けることが苦手な社員がいるとする。その社員に3つの仕事を振る場合は、ひとつずつ切り出して順番に指示を出すなど、相手によってオーダーの方法を変えるという。最近では、部下への接し方がまるで父親のようだと渡邉は笑う。

TGIとのプロジェクトは関係者との打ち合わせも多い。


任された重要案件

本部長と部長、立場は違えどそれぞれを娘のように育ててきたという渡邉は、どこに出しても恥ずかしくないと太鼓判を押す。そんなふたりを担当に指名したのがタイ工業省の管轄機関の一つである、Thai-German Institute(TGI)とB-EN-Gが2018年から共同で進める、中堅製造業を対象とした技術者の研修プロジェクトだ。(詳しくは『タイの製造業にIoTを TGIとB-EN-G、「インダストリー4.0」時代を先取る』

「自国産業の発展に貢献できる点にやりがいを感じた」と担当にアサインされた時の気持ちをベルは振り返る。プロジェクトの詳細は前述の記事で触れるが、15年にタイ政府が打ち出した高度化政策「タイランド4.0」に直結する重要な案件だ。やりがいを感じる一方で、現場の作業員の動作や姿勢をモーションセンサーで3次元データ化し、作業効率改善に繋げていく取り組みは、「センサーで収集した細かな動きのデータを、どう分析して作業改善に繋げるのか、自分たちにとっても新たな試みのため苦戦した」とエイは語る。

しかし、データ分析という新しい挑戦以上に、本当に難しいポイントは他にあった。同プロジェクトは、タイ工業省産業振興局(DIP)やTGI、タイ工業連盟(FTI)、デジタル経済振興庁(DEPA)、民間企業、大学など関係者が多い。時には短い納期での対応を求められたり、突然の振りに機転を利かせアドリブで対処したり、難易度の高い作業が続いた。どんな局面でも会社の顔として対応し、B-EN-Gという会社に対する信頼を勝ち得たことは、「評価を通り越して感謝しかない」と渡邉。当たり前にこなしていた業務にこそ、彼女たちの優秀さが表れていた。

SIMTecSIMTec開講式典の様子


母国産業の発展のために

ふたりはタイ政府機関との協業という経験を通じて、同じ想いを抱き始めた。「B-EN-G発の新たなITイノベーションを通じてタイ工場の成長に貢献したい」とベルが今後の仕事について話すと、「自分たちが得意とするERPとIoTを通じて、工場内の様々なソリューションを求める人々の第一の選択肢でありたい」とエイも続く。

ふたりに呼応するように、新たな取り組みも動き出した。今年9月、タイ東部のラヨーン県に製造業の高度人材を育成する技術研修施設「SIMTec」が開設された。タイの大手機械・工具商社のスミポン・コーポレーション(Sumipol Corporation Limited)が旗振り役となり、官民14団体が協賛、18の民間企業が協力してタイ産業の未来を担う技術者の育成を行う。デンソーやミツトヨとなどの企業とともにB-EN-Gも技術パートナーとして参画している。母国産業の発展のけん引役として、頼れるふたりの活躍の場が確実に広がっている。

(取材協力:NNA/監修・共同通信デジタル)
※本インタビューは2019年10月現在の内容です。

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