散在したシステムやデータをmcframeで一元化 製造現場にとどまらない全社的な業務プロセス改善に貢献
生産管理から財務までデータを連携 購買・発注業務の自動化も促進
既存ERPでは業務をフルカバーできず10種類のサブシステムが乱立
創美工芸常熟は、創業30周年を迎えた老舗プレス製造業である。ソフトからハードまでさまざまな優れた設備を導入し、自動車部品やOA機器を中心としたプレス用の金型の設計から、その後の金型生産まで行える対応力を強みとしている。
同社では設備投資の一環として、2007年より中国産ERPパッケージを導入していたが、10種類以上のサブシステムが存在し、システム間の連携も取れていなかった。また、MRPをうまく回せていなかったために多くの人手を要していた。
「以前のERPは当社の業務要件に合わない部分があったことで、多くのサブシステムを作らざるを得ませんでした。MRPの機能も備わっていましたが、データがそれぞれサブシステム側で最適化されていたため、MRP側にまとめることができない状況でした」と同社 董事副総経理の陳衛紅氏は明かす。
データが一元化できないことで、社内には人手で対応しなければならない業務が多く存在していた。例えば、次週の出荷計画を策定する際には毎回データの収集や分析、各部門への確認作業が発生して作業に3~4日要するため、計画策定業務の専任担当者を置く必要があったという。
そのほかにも、以前のERPでは標準原価を使用していたため、正確な原価を把握できないという課題を抱えていた。「実際にどの製品にどれくらい原価やコストが発生したかを究明し、製造や経営の状況を正確に把握したいという思いがありました」(陳氏)
業務適合性が高いmcframeを採用 B-EN-G上海のサポートでシステム定着
そこで、創美工芸常熟ではこれらの課題を解決すべく、2019年6月から新たなパッケージ製品の選定を開始。既存のERP製品と2種類の日本製品を比較した中で、mcframe生産管理・原価管理およびmcframe GAを採用した。
同社 IT課 課長の丁強氏は、「mcframeは適合性テストの結果が8割以上と圧倒的に高く、満足できました。特に評価ポイントとなったのが、他社製品になかった実際原価管理機能でした」と製品を評価する。また、今回保留した一部サブシステムの将来的なリプレースの可能性も含み、いかに親和性が高いかも重要視した。
2020年4月から、同社はERPリプレースのプロジェクトを開始。多品種小ロット製造を行う同社では、システム導入にあたり資材の国外・国内購入や保税品・非保税品の管理の仕方、BOMの階層をどこまで管理するか、原価計算をどこまで行うかなど、さまざまな検討事項があったという。「特に原価管理を行うにあたっては、各部門のキーマンを集めて検討を重ね、データをどの粒度で集めるかを決めていきました」と、丁氏は当時の苦労を振り返る。
その際に、mcframeが日本製品であることでの足かせはなかったという。「近くにB-EN-G上海の拠点があったので、しっかりとサポートしてもらえるという安心感がありました」と丁氏は語る。
「かつて中国産のERPを導入した際もメーカーが導入支援とトレーニングをしてくれましたが、実はシステムの中身について正直よくわかりませんでした。今回は仕組みもよく理解できて、業務課題に対しても、B-EN-G上海の担当者が『パッケージ上での処理はこうなる』『こういう条件ならばこのように対応できる』と教えてくれました。今では自分たちでも問題が生じた際に対策の検討ができるようになっています」(丁氏)
月次決算が10日から3日に短縮 原価管理の意識向上も
mcframeの導入により、創美工芸常熟では全社的にさまざまな業務改善が見られている。
まず製造現場においてはMRPの高度化を実現し、購買・発注業務を自動化した。mcframe の運用保守を担当する同社 生産管理部 課長 邵燕氏は、「以前は払い出しを確認する際にERPや倉庫管理システムとの間でデータ連携の必要があり時間と手間がかかっていました。今はmcframeの機能により、ハンディスキャンで倉庫の製品の払い出しが簡単に確認できます。また、短納期や緊急出荷にも対応できるようになり、大幅な業務改善となりました」と話す。
財務部門では、データの一元化によって月次決算が10日から3日に短縮。さらに原価管理では、顧客別や製品別、工程別の原価分析が容易にできるようになったと同社 経営企画課 財務原価専員の須立群氏は成果を語る。
「現在は月次で原価改善会議を行い、収益性をはじめ問題のある製品についてはシステムの設定に問題があったのか、生産工程で無駄があったのかを確認できるようになりました。その結果、会社の経営面にも貢献できています」(須氏)
原価のデータは品質部門の業務にも役立っている。例えば、品質部門ではコストを考慮した上で品質検査の方法を決めるようになったほか、製造過程で不良品が出た時に、不良品確認票の中にどれくらいのコストがかかったかを表記することで、作業者にも原価意識を持たせるようにしている。
また、各部門で人材の有効活用にもつながっている。生産計画策定の担当者は9人から1人になり、購買業務も負荷を大幅に低減できたことで他の業務に人員を割けるようになっている。
今回の導入にて創美工芸常熟はIT改革を前進させることができ、創美工芸グループ内で表彰を受けたという。そして現在同社では、スマートファクトリーの実現に取り組んでいる。その際に、AIなどの最新技術の活用を進めて作業を高度化させ、さらなるコストダウンも目指すと陳氏は言う。「製造業の事業環境も変わっていく中で、B-EN-Gにはこれまで同様に一緒に業務課題の解決に取り組んでもらいつつ、最新技術を実装した製品開発を期待しています」
導入企業概要
商号 | 創美工芸(常熟)有限公司 |
設立 | 1994年 |
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従業員数 | 608名(2024年10月現在) |
導入製品
- 本事例は2024年10月現在の内容です。
- 本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載当時のものであり、変更されている可能性があります。
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