販売、会計・税務に関するシステムやサービスを統合 「駐在員不要」の体制を整え大幅なコスト削減へ
販売・会計業務を単一のシステムで統合 タイ拠点の管理が駐在員不要に
非効率な業務が繰り返されコストは高止まりしていた
産業機械メーカーの村田機械は、海外ビジネスを拡大している。祖業でもある繊維機械事業の売上高はすでに海外が99%を占めているが、これまで国内市場を主なターゲットとしてきた工作機械やL&A(ロジスティクス&オートメーション)といった事業についても近年、海外売上比率を急速に高めている状況だ。
そうした中で重要度を高めているのがタイ拠点である。繊維機械、工作機械、L&Aの3つの主要事業部が進出し、タイの産業転換に対応するほか、ベトナムやバングラデシュなど周辺国のサポート拠点としても存在感を増している。
ただ、拡大を続けるこのタイ拠点においてビジネスのボトルネックとなっていたのが、販売・会計業務を支えるシステムだ。同社 タイ拠点のADMINISTRATION MANAGER 坂井 剛士氏は当時の課題をこう説明する。
「ERPを導入していたにもかかわらず、税務申告(消費税と前払法人税)や小切手発行などの一部領域でしか使われておらず、私たちが用意した仕訳データの転記を外部の会計コンサルティング会社に依頼して財務諸表を発行していました。また10年前に導入した販売システムは、会計を含む他のシステムとの連携が不十分であるために入力の手間が多く非効率な業務が繰り返されており、システムにかかる費用や人件費なども合わせると大きなコストがかかっていました」
そこで同社では、分断された業務を1つのプラットフォームに統合して効率化を実現する新たなシステム導入の検討に乗り出した。「本社側の方針として、私の後任となる駐在員を設けないと決定している事情もあり、日本人駐在員の仕事を可能な限りシステムに置き換える必要がありました。加えて現地採用のベテランスタッフにも退職の時期が近づいており、これを機に属人的な仕事を廃して標準化したいという思いもありました」と坂井氏は強調する。
会計システムだけで終わらせず他部署でも役立つ情報基盤へ
同社は当初、既存のERPの利用領域を拡大することを基本方針とし、ベンダーとの商談を進めていたという。だが、その交渉過程でライセンス費が想定以上に膨らむことが明らかになり、別の選択肢も検討することになった。そうした中で目に留まり、最終的に採用に至ったのがmcframe GAである。
「UIに配慮が行き届いており使い勝手が良い製品だと感じました。マスタの構成がしっかりしており、使い方次第では入力業務を撤廃できる期待もありましたし、本社で導入を進めている新しいERPとAPI連携が可能な点にも注目しました」(坂井氏)
価格、性能、本社システムとの連携といったすべての要件において、既存のERPよりも優位性があると判断した同社は、mcframe GAを正式に導入し、2021年9月よりプロジェクトを開始した。販売領域および会計・税務領域の業務の移行を段階的に進めるとともに、2023年1月、ついにmcframe GAへの業務一本化を完了したのである。
「私たちが目指したのは、複数のシステムへの重複入力といった手間をかけずに、すべての業務をもれなく、無駄なく記録して一元管理できるシステムです。事業部ごとに異なる箇所を撤廃し、業務が楽になる代替手段を提供することを心がけてきました。また、単なる会計システムだけで終わらせないために、納入機台数や部品売上/サービス売上など、営業担当者をはじめ他部署が求める情報を管理できるようにマスタ設定も工夫しました」(坂井氏)
拠点での大きなコスト削減とともに日本本社からの遠隔管理が容易に
実際、mcframe GAは、タイ拠点における業務に多くの改善効果をもたらしている。まず販売業務では、見積から売上計上、売掛回収にいたるプロセスが連動することで、販売管理のために手作業で作成していた資料が日々入力する帳票データから自動生成できるようになり、事務処理工数の削減を実現している。営業担当者やサービスエンジニアなどにもライセンスが割り振られ、月報作成時の数値データをシステムから出力できるようになった。特に管理者は納入機台別、客先別などさまざまな切り口で過去の情報を抽出できるようになっている。
同様に会計・税務業務に関してもVAT(付加価値税)などの資料は自動生成され事務処理工数が削減されている。加えて仕訳データの転記代行が不要となった効果も大きく、会計コンサルティング会社には、mcframe GAに登録されたデータの内容検証など、より高度な業務を委託できるようになった。
本社の経理部門に対しても大きなメリットを提供している。日本側からいつでもタイ拠点の財務諸表を確認できるため、遠隔からの管理が容易となった。「販売システム、会計・税務関係のシステム、 外部コンサルティング会社による転記作業の3つが集約されたことで、年間100万円をはるかに超えるコスト削減が見込まれています。さらに、駐在員をタイ拠点に常駐させる必要がなくなることによる人件費削減が何よりの効果でしょう」と坂井氏は強調する。
そして同社が見据えているのが、他の海外拠点へのシステムの水平展開だ。タイ拠点は複数事業部が進出し、業務管理の難易度の高い拠点であるだけに、今回得られたノウハウは、他拠点でも役立つと見込まれる。
「システム水平展開の結果としてmcframe GAが共通言語となることで、拠点間の交流がますます活発になります。また、本社側で導入を進めているERPと連携し、顧客先マスタや品番マスタなどをAPI経由で利用できるようにすることで、拠点側でのマスタ維持管理を不要にしたいと考えています」と、坂井氏は実務面での期待効果に言及する。少子高齢化が進み日本の労働人口が減少する中、村田機械は各拠点のスタッフが持つ能力をフルに発揮して活躍できるシステム基盤への発展をさらに進めようとしている。
導入企業概要
商号 | 村田機械株式会社 |
創業 | 1935年7月 |
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資本金 | 9億円 |
従業員数 | 【グループ】8,100名【単独】3,700名(2022年4月現在) |
事業内容 | ロジスティクスシステム・FAシステム・クリーンFA・工作機械・シートメタル加工機・繊維機械・情報機器などの製造販売 |
導入製品
mcframe GA
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- 本事例は2023年5月現在の内容です。
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