在庫管理から会計処理まで 一気通貫で管理する仕組みを タイとミャンマーで構築 月次締め処理も効率化し 残業時間を大幅削減

otsuka-mv

国内発売開始からロングヒットを続ける健康飲料である「ポカリスエット」で知られる大塚製薬株式会社(以下、大塚製薬)。同製品を含む健康飲料事業のさらなる拡大を目的に、同社ではタイおよびミャンマーへ設置した拠点に、ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)のクラウド型国際会計&ERPサービス「GLASIAOUS」(グラシアス)を導入。見たいデータを見たいフォーマットで日本からでも簡単に確認できる仕組みを実現し、経理・財務にまつわる管理業務の効率化を実現している。

日本から現地の情報を即座に確認できるように 海外拠点立ち上げ時の共通の課題解決にも期待

在庫管理から会計処理までを 一気通貫で管理できる仕組みづくりへ

otsuka1
大塚ニュートラシューティカル(タイランド)株式会社
Otsuka Nutraceutical (Thailand) Co., Ltd
代表取締役社長/Managing Director
串田 高歩 氏

疾病の診断から治療までをサポートする医療関連事業および健康維持・増進をサポートするニュートラシューティカルズ関連事業の2つの事業を展開する大塚製薬。1998年からは現地代理店や関係会社を通じて、健康飲料である「ポカリスエット」をタイで販売開始。2017年5月には、健康飲料・食品事業の拡大を目的とした大塚ニュートラシューティカル(タイランド)株式会社 / Otsuka Nutraceutical (Thailand) Co., Ltd (以下、ONTC)を設立。

ONTCでは、日々の業務における承認ワークフローの中でサインすべき書類が多かったため、そうした書類を減らし、会社のトップがいつ、どこにいても承認できる体制をいかに確立できるかが大きな課題となっていた。そこで当初はクラウド型の業務アプリ開発ツールやExcelなどを活用することで承認ワークフローの仕組みを構築し、書類へのサインを効率化していた。

承認フローは一部システム化したものの、一方残っていたのは在庫管理の課題だ。在庫はExcelベースで管理しており、データを会計システムに連携する際には手入力のひと手間があり、 さらに確認や承認のフローが存在していた。このような管理体制では、手入力に伴うミスが発生するほか、Excelファイルが壊れるとデータが消えてしまいかねないことも懸念点だった。

ONTCのManaging Director 串田高歩氏は、「在庫管理から会計処理までを1つのシステムで一気通貫して管理するための抜本的な対策が必要でした」と語る。

日本からの管理性の良さが要件 オンサイトのサポートでスムーズに導入

otsuka2
Otsuka Nutraceutical (Thailand) Co., Ltd
Finance & Accounting Manager
オーンウィパ
ブゥーンアナンタブッ 氏

こうした背景から大塚製薬ではONTCへ導入するシステムの選定を開始した。クラウドベースで日本側からでも簡単に確認できることを前提に、在庫管理ができ、OEM製造する製品の原価の計算ができること、また現地でサポートが受けられることなどを要件に検討を行った。そのほか現実的なコスト感、直感的に使える操作性などを総合的に評価した結果、 選ばれたのがGLASIAOUSであった。

GLASIAOUSの導入に関してONTCのFinance& Accounting Manager オーンウィパ ブゥーンアナンタブッ氏は、「当初は、レポートの出力やタイ語への変換、ワークフローの理解などに少し時間がかかり苦労しましたが、現地の導入パー トナー企業(GLASIAOUSコンソーシアム会員でもあるBBS (Thailand)Co.,Ltd.)に、オンサイトで対応してもらえたのでスムーズに導入でき、現在問題なく利用できています」と話す。

会計処理を正確かつ迅速に実行 経理部門の残業削減に

otsuka3
Otsuka Nutraceutical (Thailand) Co., Ltd
Accounting Officer
イントゥオン ノイパ 氏

GLASIAOUSの導入効果について、ONTCのAccounting Officer イントゥオンノイパ氏は次のように話している。

「1つのシステムで各部署のデータをすぐに確認できるので本当に便利です。例えば請求書の数字を確認したい場合、 以前は棚卸と生産管理が別々のExcelシートで管理されていたので、それぞれの担当者に聞かなければ数字が分かりませんでした。GLASIAOUSはクリック1つで必要な情報を確認できます」

また以前は、請求書の情報が経理担当者までなかなか伝わらなかったが、GLASIAOUSを導入したことで迅速かつ正確に処理できるようになった。ブゥーンアナンタブッ氏は、「請求書の入力から会計処理、銀行システムへのデータのアップロードまでを自動化できるので、経理業務が楽になりました。 以前は、締め処理で夜の10時、11時まで残業していましたが、GLASIAOUSを導入してからは残業がなくなり定時で帰れるようになりました」と話す。

串田氏は、「請求書などの書類は、紙に出力して保管していましたが、GLASIAOUSを導入したことでペーパーレス化が実現でき、保管場所も不要になりました。GLASIAOUSは、非常にフレキシブルなシステムだと思っていましたが、私が想像する以上に現場の担当者が助かっています」と話している。

GLASIAOUSの横展開により 海外拠点の課題解消に期待

otsuka4
大塚製薬株式会社財務会計部
OIAA事業部財務担当 課長
佐藤 伸 氏

大塚製薬では、ミャンマーにおける健康飲料事業の拡大を目的に、2018年10月に設立された大塚ミャンマー株式会社/ Otsuka Myanmar Co., Ltd.(以下、大塚ミャンマー)においても、在庫管理と会計システムの統合にGLASIAOUSを採用している。大塚製薬の佐藤伸氏は、「いくつかの候補を検討しましたが、ほかの選択肢はありませんでした」と話す。

大塚ミャンマーでは、当初はインドネシアから商品を仕入れ、1つの代理店に販売していく計画だった。しかし計画が変更になり、大塚ミャンマー自身で在庫を持ち、複数の小売店で販売していくことになった。すなわち複数の拠点で在庫を抱え複数の小売店への売掛金を管理することが必要になり、Excelなどを用いた管理は困難になることが予想された。そこでGLASIAOUSの採用を決定したのだ。

このように大塚製薬では、タイやミャンマーでの事業を展開するとともに、GLASIAOUSによって現地の情報の管理と統制を強化している。

「見たいデータを手元のPC上から見られるようになっていますし、ほかに必要な情報があれば、拠点の担当者に依頼してGLASIAOUS上でテンプレートを活用して効率的にレポートを作成してもらえます。見たいデータを見たいフォーマットで日本から確認できるので本当に助かります」と佐藤氏は語る。

大塚製薬では、直近の約4年でアジア地域において複数の海外拠点の立ち上げを行ってきており、その中で佐藤氏は「毎回どの会計システムを採用するかが課題でした。そこで迷わず“これ”という仕組みが必要であり、今後もGLASIAOUSにはその役割を期待しています」と話している。

※本事例は2020年9月に取材したものです。

導入企業概要

logo

1964年、設立。「Otsuka-people creating new products for better health worldwide(世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する)」という企業理念に基づき、人々の健康を身体全体で考え、疾病の治癒から日々の健康増進までを目指した「医療関連事業」と「ニュートラシューティカルズ関連事業」の両輪で、トータルヘルスケアカンパニーとして事業を展開している。

商号 大塚製薬株式会社
Otsuka Nutraceutical (Thailand) Co., Ltd
Otsuka Myanmar Co., Ltd.
創業 1964年8月10日
資本金 200億円
従業員数 5,713名(2019年12月31日現在)
事業内容 医薬品、臨床検査、医療機器、食料品、化粧品の製造、製造販売、販売、輸出ならびに輸入を事業として展開。

企業ウェブサイト

 

導入製品

GLASIAOUS
※クリックすると製品サイトに移動します。

関連記事

グローバル22拠点の会計システムを mcframe GA に統合

グローバル22拠点の会計システムを mcframe GA に統合

国際事業を強化しているセンコーグループホールディングスは、強みとするM&Aのノウハウ を活かしながら海外事業を大きくしてきた。だが、そうした中で課題となったのが財務経理業務である。各拠点がバラバラの会計システムを利用したままでは、連結決算にも多大な時間と手間を費やしてしまう。そこでグローバル共通の会計システムとしてビジネスエンジニアリング(B-EN-G)のmcframe GAを導入。本社および各拠点の業務負荷軽減を実現するほか、経営の意思決定を支える管理会計の取り組みを強化し始めている。

アメリカ現地企業で日本発IoTシステムを導入 信号灯から設備稼働を把握し無人稼働と稼働率向上を実現

アメリカ現地企業で日本発IoTシステムを導入 信号灯から設備稼働を把握し無人稼働と稼働率向上を実現

米国ウィスコンシン州に拠点を置く大手アルミニウムメーカーのMid-States Aluminumでは、工場内の生産設備の稼働状況を可視化できておらず、稼働率を改善する上で課題を抱えていた。パトライト®信号灯無線システムとmcframe SIGNAL CHAINの導入により、稼働状況のリアルタイムな可視化を低コストで実現。現場コミュニケーションの円滑化や設備停止の原因特定を含む改善活動により、生産性を大きく向上させている。

販売、会計・税務に関するシステムやサービスを統合 「駐在員不要」の体制を整え大幅なコスト削減へ

販売、会計・税務に関するシステムやサービスを統合 「駐在員不要」の体制を整え大幅なコスト削減へ

繊維機械、ロジスティクス&オートメーション、クリーンFA、工作機械などを展開する老舗機械メーカーの村田機械は、グローバルな事業を拡大している。そうした中で重要な役割を担っているのがタイ拠点だが、販売や会計・税務業務を支えるシステムが十分な機能を果たしておらず、ビジネスのボトルネックとなっていた。こうした課題を解決するために同社では、ビジネスエンジニアリングの海外進出企業のための会計/ERPクラウドシステム「mcframe GA」を導入。分断された業務をシステムで統合することで効率化とコスト削減を実現した。

すべてのタグ