隔離マイスターがお届けする コロナ禍の海外赴任・出張レポート[前編]

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コロナ禍における海外赴任・一時帰国では今や当たり前となった「隔離」。今回はToyo Business Engineering (Thailand) Co., Ltd.駐在中の私、内田雅也がタイ入国時の隔離レポートをお届けする。

昨今ブログやYouTube等でも隔離レポートが挙がっているのも珍しくないが、その隔離を計4回も経験し、複数の日数・条件・宿泊施設をレポートしている点は類稀だと自負している。近々海外赴任・一時帰国を予定されている方の参考になれば幸いである。また、ワクチン接種の進展に伴い、今後一層の規制緩和・隔離免除が想定される。そんなアフターコロナな時代に本ページに辿り着いた方には「こんなこともあったんだな~」と笑覧いただきたい。

なぜ4回も?隔離マイスターとなる経緯

今までの経緯も踏まえて、僭越ながら自己紹介から始めたい。

日系製造業の海外拠点向けにmcframe生産管理・原価管理の導入・運用サポートを始めて早10年。初めての海外赴任となったインドネシアで5年が経ち、次の活躍(予定)の場はタイだった。2019年10月、正式にタイ赴任となってから丸2年が経ち、コロナ禍による紆余曲折の結果、今回2021年10月の渡航までに2回の出張を挿んだことにより、合計4回という類まれな隔離経験を得ることができたのだ。

2年で2回目のタイ赴任

2021年10月12日午前便で日本出発、15時半スワンナプーム空港に到着し、慣れた様子で入国書類のチェック、イミグレーションを通過し、AQ(Alternative Quarantine:代替施設)ホテルの車に乗り込む。これから通算4回目の隔離の始まりだ。

1_IMG_6140_2日本出発時。平日朝便だったので幼稚園登園前の子供に見送りされる。

2_IMG_2438バンコク到着後、AQホテルまでの移動。防護服に身を包んでいるドライバーさん。

2020年3月26日 まさかの「入国拒否」

タイ赴任後、半年近く経ち、タイでの生活にも慣れ、4月から家族とのタイ生活を始めるべく、引越しのため一時帰国し、2020年3月26日に家族と共に羽田空港を出発し、スワンナプーム空港に降り立った。

そこで待ち受けていたのは「入国拒否」。

理由は「PCR未受検」だったが、当時の日本はPCRを任意受検できなかったため、現実的に医療従事者などの特例以外では渡航できなくなっていた。すぐさま折返しの羽田便を購入し日本へ戻ったが、外務省の海外安全情報の更新履歴からも、この2020年3月26日が特別な日であったことがわかる。過去の日と比べてもニュース件数が多い。
https://www.th.emb-japan.go.jp/itpr_ja/anzen-index.html
※2020年3月24日:非常事態宣言発表、2020年3月26日:非常事態宣言施行

人間万事塞翁が馬

しばらくはタイに入国できないことが確定したため、タイ出向を解かれ日本本社所属となった。日本でも新型コロナウイルス感染拡大を受け、4月から緊急事態宣言が発令された。日本での家探し、子供の小学校転入手続き、元々住んでいたタイのアパート解約(本人不在の中の引越し)など、細かいことで悩んでいられない状況だった。

本社の仕事では、タイ・インドネシア以外の拠点も含めた海外拠点サポートという、とても興味深い業務を任され、私生活とは裏腹に好調。おかげさまでタイ・インドネシア・中国、各拠点のビジネス進展に絡むことができた。

そうこうしているうちに、2020年7月、タイ政府による規制緩和が行われ、14日間の隔離を前提として、タイへの入国ができるようになった。今後の再赴任を見据えて、就労許可(Work Permit)の延長のためのタイ出張が決まった。

タイ出張。入国~隔離1回目

2020年11月、在日タイ大使館にてCOE(Certificate Of Entry:入国許可証)とPCR陰性証明を取得し、全くひとけのない羽田空港、厳重体制のフライト・スワンナプーム空港を経て、半年ぶりにタイ入国を果たした。

3_IMG_1307ガラガラの成田空港チェックインカウンター。

4_IMG_1322バンコク到着直後。イミグレーション前に検疫職員による入国書類チェックが行われる。
前方にフルガードの職員たちの姿が見える。

入国してからも完全防護服の空港職員やホテルのドライバーに囲まれ、緊張感のある時間が続いた。ホテルのチェックインも駐車場裏の従業員口からだった。自分以外にも同じタイミングで隔離が始まる日本人が数名いた。これから一緒に隔離に耐える“同士”感がある。

ホテルの部屋へ入ると安堵感もあったが、それ以上の衝撃が走った。ワーキングデスクがない。部屋にはリラックスチェアと丸いコーヒーテーブルのみ。この小さな丸テーブルで仕事のみならず食事までしなければならないのは正直こたえた。ここで今後隔離をする可能性がある方へのアドバイス。

ワーキングデスクの有無は必ず確認すべし。(デスクの有るホテル・部屋を選ぶべし)

5_IMG_1339今にもサブディスプレイが落ちそう。実際に数回落とした。

隔離ルーティン

基本的な隔離中の生活について語りたい。

<衣>
気にならなければ、服はずっと同じ(下着のみ交換)、ひげはそらなくていい。むしろどこまでひげをのばせるかに挑戦していた。旅行用小分け洗濯洗剤を持参していたが、使用しなかった。

<食>
食事は、前日の16時までに朝食・昼食・夕食を指定する。指定方法はGoogleフォームによる登録だ。和洋中、好きなものを選べるのだが、毎日同じメニュー内から選ぶことになりマンネリ化してくる。隔離後半で吉野家の牛丼が新たに選択できるようになったときは感動した。食器・カトラリーはすべてプラスチックになっているため、料理によっては食べづらいという情報を入手していたため、箸・スプーン・フォークは自宅から持参していた。

注意しなければいけないのは、食事の摂取量だ。

部屋から出られない以上、運動量はほぼゼロで、基礎代謝分しかカロリーは消費されない一方、隔離中の唯一の楽しみとも言える食事は、毎日自分で選んだ好みの3食が提供されるため、摂取過多にならないわけがない。部屋でできる運動も限られているので、なるべく食べる量を抑えるべきだ。14日間の隔離で増えた3キロを戻すために半年を要した私から言える経験則である。

6_IMG_1333ホテル到着後初めての食事。タイなど東南アジアでおなじみの透明ビニール入りのスープは容器に移す際にこぼしがち。

7_IMG_1349野菜が多く食べられるため重宝したすき焼き。

<住>
隔離中は原則部屋から出ることは禁止されている。特に1回目のPCR検査陰性が判明するまで、部屋から出られるのはPCR検査のときのみである。また、人との接触も1日3回の体温測定の時のみである。
※2度目以降の隔離時は、体温測定は自分で行い隔離用アプリに結果入力するのみとなった。

8_IMG_24792回目の隔離からはアプリ「COSTE」で体温登録

外に出られないとなおさら外の様子が気になる。ちょっとした発見があると誰かに話したくなる。しかし話す人はいない・・・。

慣れない隔離生活(慣れるほうがおかしいかもしれない)、そして他者との直接コミュニケーションを断絶されることもあり、特に隔離前半は精神的につらくなることもあったが、Kindleによる読書(主に漫画)に助けられた。特に「鬼滅の刃」は隔離中に漫画で読み、隔離明けにタイで劇場版を観たのもいい思い出である。

9_IMG_1361窓からの風景。高層ビルをよく見ると・・・清掃員を発見!

10_IMG_1530映画館にて。タイでも大人気。

隔離の夜明けぜよ

1回目のPCR検査の結果陰性がわかった日の翌日から、1日1回1時間だけ予約制で屋上のリラクゼーションエリアに行けるようになった。当時は翌日分のみ予約できるため、毎日朝一で予約をする必要があった。当時、中国並みにPM2.5が高かったバンコク中心部だが、それでも久しぶりの外の空気はおいしかった。
https://www.nna.jp/news/show/2130187

2回目のPCR検査陰性判明の翌日13日目からはフィットネスの利用も可能になった。意気揚々とトレッドミルを希望して連れて行ってもらうと、そこは普通の宿泊フロアの一室。なんと1部屋に1器具が置かれていた。

11_IMG_1399リラクゼーションエリア。日なたはとても暑い。

12_IMG_1426時間が来たらホテルスタッフが呼びに来る。

1回目のPCR検査が終わってからは日々行動範囲が広くなる喜びもあり、時が経つのが早く感じられた。そして14泊を終えた日の朝、初めての隔離が終了した。こちらの隔離明けの高揚感とは対象的に、バンコクの街にはいつもの日常が流れていた。すでに達成感あったが、会社からするとただテレワークしていただけという厳しい現実だ。

後編に続く【隔離マイスターがお届けする コロナ禍の海外赴任・出張レポート[後編]】

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B-EN-Gタイはタイ現地のローカル企業や団体と「共創」することで、日本本社から「自立」してビジネス展開できる体制をつくり、タイに根ざした企業としてお客様のものづくりを支援します。

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  1. タイで15年以上の支援実績
  2. タイ現地企業や団体との「共創」による現地に根ざしたビジネス体制
  3. 高い知見と技術をもつ現地社員

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