現地社員インタビュー
変化するインドネシアの日系企業、
B-EN-Gインドネシアの強みは柔軟かつスピーディなサポート

2億6,000万人という世界4位の人口を抱える巨大市場・インドネシア。日系企業の進出ピークは過ぎたものの、東南アジア諸国連合(ASEAN)向け加工貿易の重要拠点として自動車業界を始めとする日系各社は生産の安定化を図ると同時に、整備が進む各種法制度に合わせたきめ細やかな対応が求められるようになった。

変化するインドネシアのビジネス環境で威力を発揮するERPパッケージ「mcframe」を提供しているのが、東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)のインドネシア現地法人、PT. Toyo Business Engineering Indonesia(B-EN-Gインドネシア)だ。


日系の進出ピークは過ぎ安定成長期に

「インドネシアへの日系企業の進出ブームはだいぶ落ち着いてきたものの、日本企業が現地で直面する課題は多様化しており、ITベンダーもますます機敏な対応力が求められるようになっている」とB-EN-Gインドネシアの内田雅也プレジデントディレクターは指摘する。

石油、天然ガス、石炭など天然資源大国のインドネシアは2000年半ば、資源に頼らない国づくりを目指し、加工貿易を促進する政策に舵を切った。一定の資本力や技術力を持った外国企業の投資規制が緩和されたことで、日本企業の進出も加速した。

日系企業のインドネシア進出が急激に増えはじめた2010年頃からmcframeを導入や検討する日系企業が増えてきた。当初B-EN-Gは、タイの現地法人からインドネシアをサポートしていたが、現地で日系企業のシステム導入をサポートするため、2015年に現地法人を設けた。この現地法人の立ち上げプロジェクトから関わり、初代の責任者に就任したのが内田だ。

内田はかつてB-EN-G本社開発部で、プログラミングからはじまるERPの開発に携わった経験がある。新卒で入社した当初は顧客回りをするプリセールスエンジニアだったが、mcframe導入プロジェクトに参画した際、ユーザーからの技術的な質問・要求に十分に対応できず悔しい思いをし、「技術力がモノを言う」ことを痛感。プログラミングは全くの素人だったが、上司に頼み込んで開発部に潜り込ませてもらったというチャレンジ精神を持った人物だ。 B-EN-Gとしても海外法人の責任者としては最も若い35歳でインドネシアへ赴任した。

インドネシアはこの5年間で、国民の所得向上により新車販売台数もタイを抜いてASEANでトップになるなど旺盛な消費市場としても注目されるようになり、自動車産業を中心に日系企業数は現在、2,000社近くまで拡大している。近年は海外の部品などを輸入販売する販社機能だけでなく、国内産業を強化したいインドネシア政府の求めに応じ、インドネシア国内での新規工場の設立などの案件も増えてきた。そうした状況を反映し、B-EN-Gインドネシアは当初、新規に進出した日系企業に対し会計システムをメインにした「mcframe GA」を提供することが多かったが、現地で生産体制を強化する日系企業が増えると同時に、生産・販売・原価システムの「mcframe」へのニーズが中心的になっているという。

めまぐるしく変わる制度運用に柔軟対応も

本社時代からアジア各地によく出張していた内田は、アジアならではの多様性をよく分かっていたつもりだったが、初めての海外駐在で肌身を持って知ったのは、インドネシアの法制度や商習慣の特殊性だった。「タックスインボイスを基に毎月納税する制度など、日本とは大きく違っているほか、こうした各種法制度が頻繁に改正されるため、常に情報収集しつつ、都度丁寧に対処していかなければならない大変さがある」

加工貿易を促進するインドネシアは、海外製の機器や原材料の輸入に対する関税を免除する「保税区」がジャカルタ郊外など複数箇所に設置している。この保税区に多くの日系製造業や物流企業などが拠点を設けているが、近年になって税関当局がモノの入出庫を逐一報告することを企業に義務付けた。「税関当局のシステムと連携させ、税関からも保税区工場の入出庫のデータが見られる社内システムが必要になり、mcframeの導入を進める企業も出てきた」という。

mcframeの特徴は、標準機能がシンプルで拡張性に優れていること。他のERPではカスタマイズをすると別途開発費が発生し、導入までに要する期間も長くなってしまうが、mcframeは柔軟なフレームワーク構造とデータベースが公開されているためカスタマイズしやすく、スケジューラーや会計システムなどとも連携することが容易だ。インドネシアの日系工場では、製品や材料それぞれにバーコード付きの現品ラベルを貼り付けて在庫管理などを行うケースも増えている。ハンディーターミナルという情報収集端末でこのバーコードのデータを読み取ってmcframeにデータ入力すれば、「A品目は何個」「B品目は何個」などと実績の数値を「見える化」し、的確に管理できるようになる。人為的なミスが多い手入力でのデータ管理を効率化するためだ。余分な在庫を抱えるリスクも減らし、コスト削減にもつながる。

一方、外資系などの大手ERPベンダーは、なるべくカスタマイズすることなく販売することが多い。現地法人に、開発できるSE人材も置いていないため、現地事情に合わせた対応力は限られる。 内田は「お客様が何を求めているかによって状況は変わってくるものの、インドネシア特有のニーズに対応していけるかどうかで業界を見渡してみると、プレーヤーがぐっと少なくなり、B-EN-Gの強みが生きてくる」と自信をみせる。

強みはスピーディにお客様対応ができること

B-EN-Gが柔軟なのは、mcframeという提供するシステムだけではない。「現地では小さな会社なため、適宜柔軟に人も組織も動かせる」ことも有利に働く。 日系製造業が集中する工業団地がある西ジャワ州ブカシ県チカランと西ジャワ州カラワン県には、B-EN-Gインドネシアがプロジェクトオフィスを近く設ける予定。システムエンジニア(SE)を複数人常駐させ、迅速に現地のお客様をサポートする体制を整えるのが狙いだ。

競合のITベンダーのほとんどが、交通渋滞の深刻な首都のジャカルタだけにオフィスを構えているため、数時間かけて20~25キロ離れた工業団地エリアに到着することも。大手ベンダーは顧客から求められても「工業団地には行けません」と断るケースが少なくないという。「工業団地には行かず、ジャカルタからリモートでお客様対応するだけなら、東京から対応するのとさほど変わりない。インドネシア現地に法人を設けている意味がなくなってしまいます。だからこそ、いつでも工業団地のプロジェクトオフィスからSEが飛んでいける体制を整えることは、柔軟な組織づくりを得意とするB-EN-Gならではだ」と、内田は強調する。

お客様の近くにいることで対応のスピードは格段に速くなり、お客さんの安心感・満足度も高まる。現在は工業団地の近隣に暮らす数人のSEが、お客様へのサービスを継続しているが、数年内に十数人に増やす見通しだ。 35歳という若さでインドネシアの責任者として赴任し、初めて組織上の部下を持ったという内田は、もう40歳となった。現地ではローカル人材の採用から、営業、経理など何でもこなさなければならない。だからこそ「さまざまな業界の日系企業の人々と同じ仲間として出会うことができ、現地ならではの課題を共有できるようになった。よりお客様の気持ちが分かるようになったことは、よりお客様の立場に立ってサポートできるようになったことだと思う」と話す。

成長するインドネシアとそこで活動する日系企業の事業はこれからも続いていき、B-EN-Gの活動の場も広がりをみせている。「生産管理システムは、会計など他のシステムに比べて導入のハードルが高い。だからこそインドネシアに根ざした形で機能強化をしていきたい。SEなど現地スタッフたちに言い聞かせているのは、将来的には日系製造業向けの生産管理・原価管理システム導入でナンバーワンになること」と内田は意欲を燃やしている。

(取材協力:NNA)
※本インタビューは2019年4月現在の内容です。

コラム

「インドネシア テンプレート」とは?

B-EN-Gインドネシアの特徴的なサービスといえば、「インドネシア テンプレート(詳しくはこちら)」だ。 これは、mcframeの標準機能を補う形で、インドネシア特有の要件などに合わせて開発した機能群のことだ。インドネシア語に対応し、内示や確定受注、出荷指示などオートバイや自動車などの輸送機械業が使いやすい機能を用意した。さらに医薬、食品や化学業界のお客様にも活用できる幅広いパッケージにしている。

内田は「インドネシアはインボイスなど特有の商習慣があるだけでなく、法規制などがめまぐるしく変化する。お客様の声を聞き、インタラクティブに応えていくプラットフォーム(機能群)が必要だった」と、開発した経緯を説明する。商習慣や法制度が日本と大きく異なるインドネシアに日本製のパッケージをそのまま使うと、さまざまな“不都合”が生じることもある。インボイスを発行する仕組み、その税金データを国が配布しているシステムにアップロードが必要となるなど、インドネシア特有のやり方があることが背景にある。

テンプレートは内田のほか、社内のローカルSEらが実際に手を動かして開発した。単に現地の実情が分かっているだけでなく、プログラミングができる内田がリーダーシップを発揮したからこそ実現できたテンプレートとも言えるだろう。

 

内田はまた、現地で定期的に開催しているmcframeのユーザー会などでお客様から聞いた要望などを含め、B-EN-G日本本社の商品開発部へフィードバックすることで、mcframeの標準機能に反映してもらうことも行っている。

常にお客様視点に立ってインドネシア法人を運営してきた内田。「日本は1年に1度のサイクルで改善を進めていくが、インドネシアではもっと短いサイクルでないと変化の早いインドネシアには追いついていけない」と内田は強調する。日系企業の経験と知恵、汗がしみこんだ機能群ともいえるテンプレートは、これからも後続の日系企業をサポートしていくだろう。

 

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