メキシコ工場に迅速にIoTを導入 8時間かかっていた生産ラインの稼働状況把握を10分に短縮
自動車、船舶、建設機械、一般産業向けなど、さまざまな産業分野で使用される軸受を製造・販売する大同メタル工業。同社のグローバル拠点の1つである大同メタルメキシコでは、生産ラインの稼働率の向上と無駄なコストの削減が大きな課題となっていた。そこで 「mcframe SIGNAL CHAIN」をメキシコ拠点に導入することで、設備の稼働状況を迅速に把握し、生産効率向上につなげる改善活動を加速している。
設備の稼働状況を監視 停止理由の把握と対策活動を効率化
ラインの稼働率とコストが課題に
大同メタルグループのグローバル拠点の中で、最大級の生産量を誇る大同メタルメキシコ S.A. de C.V.(以下、大同メタルメキシコ)では、「すべり軸受」と呼ばれる軸受を製造し、北米を中心に販売している。自動車用の軸受と大型船舶用の軸受ではいずれも世界トップクラスの実績を有している。市場における大同メタルメキシコの強みについて、Presidentの川原主税氏は、次のように語る。
「材料の開発から生産、精密部品の加工まで一貫した生産体制をグローバルに確立し、お客様に近い場所でエンジニアリングを提供していることが最大の強みです。軸受の生産に欠かせない精密加工技術を自社開発していることも特長の1つです」
だが一方で、大同メタルメキシコでは生産ラインの稼働率が低く、無駄なコストが発生しているという課題も抱えていた。Production Engineering部の金子博氏は、「生産が受注に追いつかず、輸送にコスト高の航空便を使うこともありました。稼働率を向上させるために停止時間の把握や原因究明の取り組みを行っていましたが、時間がかかるため対策も遅れていました」と話す。
また同時期に、大同メタルグループ全体では「機械を止めない活動」が開始されていた。金子氏は、「これは生産ラインの設備が止まったときに迅速に復旧し、設備の停止を繰り返さないようにするための活動です。この活動を通じて、設備の稼働率を向上させる、原価を低減する、ムダな設備投資を抑えることが必要でした」と語る。この2つの課題を解決することを目的に、大同メタルメキシコではmcframe SIGNAL CHAIN(以下、mcframe SC)を導入することとなった。
低コストと短期導入を評価してmcframe SCの採用を決定
mcframe SCの採用で評価した点は、低コストの導入と短期導入が可能であったことの2つだ。金子氏は、「当初はPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)から稼働データを取得することを考えていましたが、やりたいことをJBS USAの担当者に相談したところmcframe SCを紹介されました。他社製品でも同様のことを実現できますが、これだけシンプルに手間をかけずに実現できるのはmcframe SCだけでした」と話している。
また金子氏は「mcframe SCの導入では、導入後のメンテナンス性も考えて、標準機能での導入にこだわりました。しかし、それだけでは対応できない機能があり、その点に関してはB-EN-Gに製品の機能を追加してもらいました」と話す。例えば、同社のシフトの開始時間は7時だったが、mcframe SCの標準機能は表示開始時間が0時スタートだったので、表示開始時間を変更できる仕組みが必要だった。また同社のパトライト信号灯は設備ごとに表示色や段数が違い、同色の2段利用などもあったため、色や段数を自在に設定できる仕組みも必要だった。B-EN-Gはこれらの要望が普遍的なものであると判断し、迅速に標準機能に追加した。
ラインの設備の稼働状況を現場の大型モニターで容易に把握
大同メタルメキシコでは、現在mcframe SCを用いて生産ラインでの設備の稼働状況を監視している。金子氏は、「現場に大型モニターを設置し、現場の担当者やマネジャーは稼働状態や稼働率を容易に把握できるようになりました」と話す。また、パトライトの表示色を帯状に表示させる「設備チャート」を活用して停止時間と停止理由を把握し、対策につなげる活動を開始している。
設備が停止したときにはパトライトの表示色が赤色になる。赤色の表示が長ければドカ停が起きたことがわかり、連続運転を示す青色の表示の間にいくつも赤色が表示される場合はチョコ停が起きていることがわかる。「この設備チャートのデータと、現場担当者の日報や聞き取りの内容を分析することで、設備の停止の原因究明と対策を容易に行えるようになりました」と金子氏は話す。
従来、日報や聞き取りだけでは、稼働状況の把握や停止の原因究明は困難だった。「そのため、これまでは正確な稼働状況の把握のために、1日8時間、生産ラインに張り付いていましたが、今ではその必要もありません。データが自動収集されるので稼働状況の把握は10分程度で行えます」と金子氏は話す。ほかにも、データという事実に基づいて改善活動を行えるようになったことで、日々のミーティングが1時間から40分に短縮している。
改善活動すべてを踏まえ、同社での生産効率は20%近く向上していると金子氏は見積もる。だがそれ以上に、現場作業者からの報告に加えて、システムからのデータ生成によって正確かつリアルタイムな情報が監督者に届くようになったのは大きな成果だという。経験豊富なライン監督者の確保はどの企業でも課題となる。その点で、蓄積されたデータは、会社のノウハウとして次世代の監督者への養成にも役立つものとなるだろう。
今後は、mcframe RAKU-PADを導入し、手書きで作成している作業日報のペーパーレス化を目指している。川原氏は、「いかに迅速に現場の状況を把握し、どこを改善すれば生産性が向上できるのかを正確に見える化することが必要です。こうした課題に取り組むにあたり、今後もB-EN-GやJBS USAの変わらぬサポートに期待しています」と話している。
大同メタルメキシコ S.A. de C.V.の製品群
導入企業概要
1939年に愛知県名古屋市で創業。自動車、船舶、建設機械、一般産業向けなどの多種多様な産業分野で使用されるすべり軸受の製造・販売を事業として手がけ、現在では北米・欧州・インド・中国・日本などグローバルに展開。特に自動車エンジン用軸受と大型船舶用軸受では世界トップクラスのシェアを誇っている。
商号 | 大同メタル工業株式会社 大同メタルメキシコ S.A. de C.V. |
創業 | 1939年11月4日 |
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資本金 | 72億7,300万円(2017年3月末時点) |
従業員数 | 連結:6,321名(2017年3月末) 個別:1,255名(2017年3月末) |
事業内容 | 自動車用軸受、一般産業用軸受、大型軸受、エコロジー製品、潤滑技術応用製品の製造・販売 |
導入製品
mcframe SIGNAL CHAIN
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- 本事例は2018年5月現在の内容です。
- 本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載当時のものであり、変更されている可能性があります。
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