生産設備の稼働状況が一目瞭然 定量値で生産性を把握でき現場からの日報も不要に

株式会社アライパーツ
自動車関連を中心とする金属加工部品のグローバルサプライヤーであるアライパーツでは、中国・太倉工場において設備の正確な稼働状況を把握するためにビジネスエンジニアリング(B-EN-G)の製造業向けIoTパッケージ「mcframe SIGNAL CHAIN」を導入。データを活用することで機械の異常停止の原因を特定しやすくなり、復旧までの時間を短縮。同時に手書きの生産日報廃止、労務管理やトレーサビリティの実現など多面的な効果を得ている。

生産日報の廃止、稼働率改善、トレーサビリティ実現など多岐にわたる効果を実感

生産本数を高めるための稼働率改善のアプローチを模索

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新井精密部件(太倉)有限公司
副董事長
新井 武 氏

株式会社アライパーツ(以下、アライパーツ)は、冷間圧造などの高い技術力を背景に、金属特殊部品を製造・販売するサプライヤーだ。グローバルでの供給体制を整えてきており、中国では新井精密部件(太倉)有限公司から、中国国内はもとより北米や東南アジアにも輸出している。営業部門を率いる総経理の朱暁飛氏は、「当社では提案型営業を行っており、設計段階から顧客と関わりを持つことで、ニーズにきめ細かく対応しています。多種多様な生産設備を保有し、金型の内製も可能です。こうした体制の構築によって、高品質な製品を低コストかつ短納期で供給しています」と説明する。

だが、中国の太倉工場ではある大きな課題を抱えていたという。生産部門を統括する副董事長の新井武氏は「毎月の生産本数を生産指標としていたのですが、その数値は思わしくありませんでした。予実を対比すると、営業が見積もった数字よりも低く採算が想定よりも下振れする傾向があったのです」と振り返る。

このような状況下、何が影響をもたらしているのか因果関係が明確でないために改善の手を打ちかねていた。生産本数の変動が設備の稼働状況によるものなのか、従業員のスキルに起因しているのかを特定する術がなかったのだ。特に夜間の勤務に関しては、管理者が少なく目が届きにくいこともあり、労務管理の観点からもより的確に状況を把握する必要があった。生産日報を担当者に記録させるようにしていたものの、手書きであったため手間がかかり、詳細な記述は敬遠されがちで、正確性が揺らぎやすい点が問題であった。

稼働モニタリングにシンプルで扱いやすいmcframe SIGNAL CHAINを採用

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新井精密部件(太倉)有限公司
総経理
朱 暁飛 氏

そこで新井氏が構想したのは、設備の電気信号をもとに稼働状況を把握する仕組みだ。その稼働時間を生産指標に加えることで、ボトルネックが機械にあるのか人にあるのかを分析できるようになる。また、生産中の品目と担当者を結びつけてデータを可視化することで、生産日報を不要にできるとも考えた。

新井氏は、かねてから取引のある大手機械商社でB-EN-GのIoTソリューション販売も手掛ける山善(上海)貿易有限公司に相談した。提案された製品の中から選ばれたのがmcframe SIGNAL CHAIN(以下、mcframe SC)であった。

「今回求めたのはシンプルに稼働状況を把握できることでした。mcframe SCは画面がわかりやすく、特にアンドン表示が視認しやすいところが気に入り、選定の大きな決め手となりました。また、当社設備と接続するための機能がオプション扱いではなく、標準で利用できた点も魅力でした」(新井氏)

2017年に開始したプロジェクトは半年程度で初期稼働を迎えた。太倉工場の機械はIoTを意識した設計になっていないうえ、機械によって電気回路の仕様が異なる。新井氏自ら電気回路に手を入れることで、より正確な稼働データを取り出せるようにした。

「信号灯が示す状態を拾うだけでは稼働状況を正確には把握できません。例えばモーターが正常に回転していたとしても、それが生産につながっていないカラ回しであれば、本当の稼働率と乖離してしまうからです。欲しい稼働データを得られるように構築時には仕組みを工夫しました」(新井氏)

mcframe SCは信号灯と容易に連携できる特性からアンドン表示などの可視化を簡単に実現できる。もっとも、太倉工場が持つ設備の特殊な仕様や電波状況などの影響によって、データの取得がうまくいかない部分もあった。地道に調整を施して対処していった。「時間はかかりましたが、弊社からの質問や相談に対してB-EN-Gは真摯に対応してくれました。製品のバージョンアップに際して当社から出した要望が採用されたこともあり安定稼働にこぎ着けることができました。満足しています」と新井氏は振り返る。

稼働状況が一目瞭然に 客観的データが生産性向上に寄与

現在、太倉工場ではmcframe SCの画面を通じて、事務所にいながら稼働状況や生産中の品目を把握できるため、わざわざ生産現場に出向いて確認する手間は無くなった。また、稼働データに生産品目や担当者を自動的に結びつけたことから、定着しにくく手間もかかっていた日報を廃止できた。課題の1つだった労務管理については、作業員が適切に休憩を取っているのかが一目瞭然でわかるようになっている。異常停止時も原因特定が早まり、再稼働までの時間を短縮できている。

さらに、稼働率をより適切に把握し生産性を高めるために、定量目標を変更した。新井氏は「数字によって定量的に生産進捗を捉えられるようになったのが大きな効果です。生産本数と稼働時間を一緒に見ることで、本数という単なる量だけでなく生産性がわかるようになりました。営業が見積もった1製品あたりの原価の経過と傾向も見え、損が出ている部分がよくわかりました」と変化を語る。当初は1部門10台程度のみを対象とする構想だったが、導入効果を実感し、現在は全3部門29台にまで展開している。

このほかに朱氏は「工場見学に来る取引先の方からも当社の取り組みは好意的に受け止められています。万が一不良品が発生した場合のトレーサビリティにも活用できることは、営業上も有利に働きます」と営業面での効果を説明する。

最後に新井氏は「当社のIoTの取り組みは、より進んだ企業から見ればとてもシンプルに感じるかもしれませんが、簡単な仕組みであっても成果が出ることは間違いありません。今後もデータ連携やペーパーレスをより推進し、現場はモノづくりに集中できるようにしたいと考えています」と話している。

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信号灯(左図)から設備の状態を取得してmcframe SIGNAL CHAINで可視化(右図)

導入企業概要

prodacts

「創意工夫と“考”動力にあり」を経営理念とし、独自の冷間圧造技術をはじめとする技術力を強みに、グローバルサプライヤーとして自動車、弱電、OA機器向けの金属特殊部品を製造・販売している。

商号 株式会社アライパーツ
新井精密部件(太倉)有限公司
創立 1972年6月1日
資本金 7,200万円
従業員数 150名(国内)
事業内容 自動車・関連部品の製造販売

企業ウェブサイト

 

導入製品

mcframe SIGNAL CHAIN
※クリックすると製品サイトに移動します。

  • 本事例は2021年3月現在の内容です。
  • 本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載当時のものであり、変更されている可能性があります。
  • 掲載企業様への直接のご連絡はご容赦ください。
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IoT

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