mcframe SIGNAL CHAINとHMIデバイスとの連携で加工ラインの稼働状況をグローバルに見える化
グローバルで利用するIoTの仕組みを迅速に構築 将来的には他システムとの連携にも期待
高品質なアルミダイカスト製品をグローバルで製造
株式会社アーレスティ(以下、アーレスティ)の強みは、研究開発(Research)、サービス(Service)、技術(Technology)に基づき、アルミの地金から金型、加工までの一貫した事業を展開できることだ。特に研究開発に注力し、アルミの利用分野の拡大や、自動車の軽量化のニーズに応える取り組みを推進。社名は、それぞれの頭文字である「RST」に由来する。
また、早い時期より、グローバルに事業を展開してきたことも強みの1つだ。1988年に米国に生産拠点を開設したほか、2000年以降はメキシコや中国、インドなど、積極的に海外に生産拠点を拡大している。特にグローバル市場でアルミダイカスト製品を製造、販売できるメーカーは多くないことから、近年では、中国、およびインドの市場が拡大している。
ITシステム部 部長の中溝昌佳氏は、「自動車業界では、電気自動車(EV)や自動運転など、大きく変革している成長産業です。電動化や自動化に必要な部品の受注や、アルミダイカスト製品による自動車部品の軽量化の分野にアーレスティが大きく貢献しています」と話している。
鋳造設備だけでなく加工ラインの稼働状況も把握したい
アーレスティの鋳造部門では、1990年代後半より「TOMS(トータル・オペレーション・モニタリング・システム)」と呼ばれる仕組みを独自に構築して設備の稼働状況をモニタリングしていた。鋳造は、1つの設備で複数の製品を製造するため、計画どおりに製品を製造するためには、設備が常に正常に稼働していることが必要であり、設備の稼働状況を見える化する取り組みが以前から推進されていた。
TOMS導入以前は、鋳造設備にトラブルが発生したり停止したりした場合、停止時間や稼働状況を手書きで記録し、別途システムに手作業で入力することで稼働データを管理していた。中溝氏は、「当時、加工工程の割合はまだ少なく、メインが鋳造だったので、鋳造の稼働率を高めることが重要でした。その後、鋳造、加工、納入というケースが増えてきたので、加工部門の稼働状況把握の重要性が高まりました」と話す。
加工業務が本格化してくると、鋳造部門で行っていた稼働状況の把握を加工ラインでもできないかを検討するようになった。アーレスティの加工を担う株式会社アーレスティプリテック 取締役 製造主席の水出智明氏は次のように語る。
「鋳造と加工の工程の最大の違いは、加工のための設備レイアウトがさまざまだということです。5台の設備でレイアウトされたラインで生産する製品もあれば、10数台でレイアウトされたラインで生産する製品もあります。そのため、鋳造のときと同じように設備ごとの稼働/不稼働を見るだけではラインの稼働状況を把握することはできず、これをどのように実現するかが課題でした」
社内のIoT研究会で稼働監視の方法を検討
加工ラインの稼働状況を把握するための検討は、社内の「IoT研究会」を中心に行われた。IoT研究会は、2017年から活動している取り組みだ。ITシステム部や生産技術部、各製造部門などの部門を横断したメンバーで構成されている。IoTはもちろん、「インダストリー4.0」など、製造業向けの最新テクノロジーを、いかに社内に取り込んでいくかを研究している。また、先進技術を導入している企業の見学やベンダーの話を聞くなどして、情報収集や技術の評価を行ってきた。
ITシステム部 情報システム開発課の山下浩史氏は、「IoT研究会において、加工ラインの稼働状況を見える化するためには、どのような技術がありどのような仕組みが必要なのかを検討しました。検討していく中で、mcframe SIGNAL CHAIN(以下、mcframe SC)の存在を知りました。当初は、5社程度の製品を検討して、まずは2~3社に絞り、デモを見せてもらったりして、最終的にmcframe SCを採用することを決めました」と話す。
また中溝氏は、「アーレスティにおけるIoTの取り組みは、IoT研究会の実施をきっかけとしてトップダウンで始まったものですが、以前からボトムアップで行ってきたIoT化による改善活動を、トップが承認してくれたことが取り組みを加速できた要因の1つでした」と話している。
グローバル対応とPro-face連携を評価しmcframe SCを採用
加工ラインの稼働状況を把握するための検討は、社内の「IoT研究会」を中心に行われた。IoT研究会は、2017年から活動している取り組みだ。ITシステム部や生産技術部、各製造部門などの部門を横断したメンバーで構成されている。IoTはもちろん、「インダストリー4.0」など、製造業向けの最新テクノロジーを、いかに社内に取り込んでいくかを研究している。また、先進技術を導入している企業の見学やベンダーの話を聞くなどして、情報収集や技術の評価を行ってきた。
ITシステム部 情報システム開発課の山下浩史氏は、「IoT研究会において、加工ラインの稼働状況を見える化するためには、どのような技術がありどのような仕組みが必要なのかを検討しました。検討していく中で、mcframe SIGNAL CHAIN(以下、mcframe SC)の存在を知りました。当初は、5社程度の製品を検討して、まずは2~3社に絞り、デモを見せてもらったりして、最終的にmcframe SCを採用することを決めました」と話す。
また中溝氏は、「アーレスティにおけるIoTの取り組みは、IoT研究会の実施をきっかけとしてトップダウンで始まったものですが、以前からボトムアップで行ってきたIoT化による改善活動を、トップが承認してくれたことが取り組みを加速できた要因の1つでした」と話している。
mcframe SIGNAL CHAINによって設備の稼働/不稼働を色付けした図で視覚化
加工ラインの出口で稼働状況を把握 まずはライン全体を見える化
パッケージを利用した加工TOMSは、複数台の設備で構成されている加工ラインの出口で、時間どおりにものづくりができているかを把握できる仕組みになっている。ラインごとにモニタリングをしている理由を、生産技術部 加工技術課の石塚修氏は次のように説明する。
「加工ラインを構成する10台の設備すべてにセンサ(端末)を付けようとすれば10個のセンサが必要なため経済的ではありません。ライン全体を1つの設備と考えれば、出口に1つセンサを付ければ全体の状態は把握できます。もし、出口で時間の遅れがあれば、ラインの途中に問題があることが予測できます」
mcframe SCは、まずはスモールテストで2~3ラインからモニタリングを開始し、2018年6月と10月に分けて国内5箇所の生産拠点の51ラインまでに拡大している。石塚氏は導入のプロセスについて次のように説明する。
「まず把握したかったのは、加工ラインが、決められたサイクルタイムで毎回生産ができているか、そこにムダはないかどうかです。設備のトラブルも把握したかったのですが、まずはライン全体の稼働状況を見える化したいと思いデータ収集することにしました」
また、加工ラインを設計する場合、受注数量から1日当たりの生産数を決め、1個を生産するサイクルタイムを考え、ラインの構成を検討する。mcframe SCを導入したことで加工技術者の設計したラインが、想定したサイクルタイムで連続的に生産できているのかを継続して監視でき、ムダが無いかの検証、さらには生産性改善につなげるツールとなった。
「社内では、OEE(設備総合効率)シートでデータを集計していましたが、mcframe SCによってこの精度が向上しました。OEEシートは、何分止まったのか、何パーセント稼働しているのか、良品率はどれくらいかといった情報をレポートしていますが、これを用いてラインのどこに問題があるのかを把握し、改善活動に生かしています。手書きの記録では評価が悪かったラインでも、実際にmcframe SCでデータを取ってみると、それほど悪くなかったということもありました」(水出氏)
一方、mcframe SCのシステム面での効果について、中溝氏は次のように語る。「もう少し使っていけば、複数の工場で、同様の原因によるラインの停止があるといった傾向を把握することも期待できます。これを共通の課題として、改善に取り組むこともできます。また、ある工場で受注に対応しきれない場合に、別の工場で生産することがありますが、その場合の判断の目安にも活用できると思います」
また山下氏は、「mcframe SCは、インフラ環境を準備すれば短期間で導入できます。特に作り込みも必要ないので、設備にPro-faceをつなぎ、ネットワークに接続すれば、あとはB-EN-Gの担当者に2日程で設定をしていただき、短期間で加工ライン稼働状況の見える化ができました」と話している。
アーレスティが作成するOEEシート(※数値はダミー)。mcframe SIGNAL CHAINによってこの数値の精度が向上した
メキシコ、中国、インドにも展開 品質向上やコスト削減などに期待
アーレスティでは、2019年2月末には米国の生産拠点でmcframe SCの導入が開始された。端末の設置後わずか2日で複数の加工ラインの稼働データが見えるようになった。米国への導入後には、メキシコの生産拠点への導入も予定している。さらに中国、インドにも導入する計画である。水出氏は、「現在はテレビ会議などで海外拠点の稼働状況を把握していますが、mcframe SCの導入によって国内・海外問わずグローバルで稼働データを常に確認できるので、改善活動に対する情報共有がより早く正確にできることを期待しています」と話す。
mcframe SCによってデータを収集する仕組みを構築したアーレスティでは、その効果をさらに発揮していくべく、他の用途への活用も視野に入れている。中溝氏は、「mcframe SCのデータを活用することで、製造品質の向上、コスト削減などにつなげたいと思っています」と話す。
導入企業概要
自動車向けアルミニウムダイカスト製品製造を主力事業としてグローバルに展開。アルミニウム合金地金生産、設計、金型製作、鋳造、加工まで一気通貫した生産体制を整備。また、フリーアクセスフロアパネル、ダイカスト周辺機器の製造・販売も行っている。QCDD(品質、生産性、納期、開発力)に優れた製品、およびサービスを提供することで、「お客様からの信頼No.1」を目指している。
商号 | 株式会社アーレスティ |
創立 | 1938年6月22日 |
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資本金 | 69億6,400万円 |
従業員数 | 単体946名/連結7,337名(2019年3月31日現在) |
事業内容 | 自動車向けアルミニウムダイカスト製品製造、アルミニウム合金地金生産、フリーアクセスフロアパネル、ダイカスト周辺機器の製造・販売 |
導入製品
mcframe SIGNAL CHAIN
※クリックすると製品サイトに移動します。
- 本事例は2019年3月現在の内容です。
- 本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載当時のものであり、変更されている可能性があります。
- 掲載企業様への直接のご連絡はご容赦ください。