ユーザーインタビュー
九電工東南アジア、5拠点のプロジェクト採算を
「mcframe GA」で見える化

東南アジアのシンガポールとマレーシア、タイ、ベトナムの4カ国に5拠点を構え、日系企業向けに工場やビル建物の電気、空調、配管などの設計から施工、メンテナンスを手掛けているのが、電気設備工事大手の株式会社九電工(本社・福岡市)のグループ会社、九電工東南アジア(統括拠点:シンガポール)だ。

九電工東南アジアでは、多岐に渡るプロジェクトそれぞれの原価などの採算性を把握するのが課題だったが、東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)が提供するグローバル経営管理ソリューション「mcframe GA」をこれら5拠点に導入し、各国拠点ごと、プロジェクトごとの数字の「見える化」を実現した。経営の見える化は課題やリスクを見出し、九電工の東南アジアでの成長を後押しするものとして期待されている。

東南アジアで事業を多角化

電気が点く、空調が動く、水が流れる――企業活動に必要不可欠な設備機能を備えた、完成品としての工場やビル建物を顧客企業に引き渡す。それだけにとどまらず、定期的なメンテナンスサービスによって「その後20年、30年間と普通に動くようにすることが大事」と、九電工グループの東南アジアの統括拠点、九電工東南アジア(シンガポール)の藤延昭弘社長は強調する。


九電工グループは2012年にマレーシアとベトナムにそれぞれ事業会社を設立して東南アジアへの初進出を果たすと、2013年にタイに法人を設立。同年5月には、発電所や石油化学コンビナートなどの大型事業を手掛けるシンガポールの大手エンジニアリング企業、Asia Projects Engineering Pte. Ltd. (APECO)を買収した。2018年にはインドネシアに駐在員事務所も設けている。6億人という巨大な人口を抱えて経済成長する東南アジアで設備需要を取り組むのが狙いだ。


九電工の東南アジア進出は10年にも満たない、この地域では「若い企業」だが、近年は深刻な大気汚染に見舞われるようになったタイを中心に太陽光発電など再生エネルギー事業の展開にも力を入れるなど多角化を図っている。

プロジェクトごとの採算管理

拡大する東南アジア事業を見据え、九電工は2014年11月、シンガポールに東南アジアの統括拠点としての九電工東南アジアを設立した。東南アジア各国で進むプロジェクトは数多く、分野も多岐にわたる。全拠点の年間プロジェクト数の合計は小規模案件も含めれば200件以上にも上る。


各拠点の経理システムはばらばらで、会計科目も書式もまちまちだったため、プロジェクトごとの採算性を把握するのは容易ではなかった。


大庭安正副社長は「各国拠点に統一したシステムを導入し、統括拠点として各国法人の資金やプロジェクトの動きを的確に把握する必要があった」と指摘する。

どこよりも親身になって対応してくれそうな点が決め手

九電工東南アジアの坂井隆一部長から相談を受けたのが、B-EN-Gのシンガポール法人、Toyo Business Engineering Singapore Pte. Ltd.(B-EN-Gシンガポール) の責任者、山下元士だ。山下は「九電工東南アジアのスタッフたちが東南アジア各拠点からそれぞれ電子メールで送ってもらったエクセルデータを手作業でまとめるなどの煩わしい作業をしているのを知った。mcframe GAは製造業や流通業の販売や会計の管理で多くのお客様にご利用いただいている基幹業務システム(ERP)だが、九電工様のように建設業のプロジェクトごとの売上や原価の管理にも標準機能で十分に対応できることを理解してもらえた」と話す。


坂井氏によると、日本や欧米の大手ベンダーなどが提供する複数のERPを入念に検討するなどしていたが、最終的にはB-EN-Gが提供する「mcframe GA」の導入を決めた。

「mcframe GAは、日本語や英語はもとより、タイ語やベトナム語など多言語対応していたほか、プロジェクト一つひとつの原価管理ができることが良かった。そしてコスト競争力が非常に高かった。最終的には、どこよりも親身になって丁寧に対応してくれそうなことが大きな決め手となった」と坂井氏は話す。

将来に向けた「物差し」

mcframe GAを2018年1月、シンガポールの九電工東南アジアとAPECOで先行して導入したのをはじめ、2018年9月から2019年3月までにかけてはタイ、ベトナムとマレーシアでも本格運用がスタートした。


「マルチサイトによって各国拠点の経営状況が横軸で見られるだけでなく、プロジェクトごとの原価など採算性という縦軸でも簡単に見られるようになった。企業の成長を支えるのは、信頼のできるデータという物差し。データがしっかりしていないと経営や事業判断を間違える可能性もある」と藤延社長。数字が把握できれば課題や潜在的な事業リスクも見えてくる。東南アジアでの事業リスクを減らし、安定的に黒字化を実現していくことで、新たな事業チャンスも出てくるとみている。


「日本は20年に開催される東京五輪・パラリンピック後にインフラ再開発は一段落するため、成長する海外でのビジネスチャンスがより重要度を増していく。九電工の将来のための基盤づくりにmcframe GAは欠かせなかった。東南アジアでも九電工としての独自性を発揮し、新しい業態にもチャレンジしていきたい」と意気込んだ。

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プロジェクトコラム

導入コンサルタントに聞くプロジェクト成功の肝

九電工様のmcframe GAプロジェクトで、シンガポール2拠点の導入支援をしたのは、B-EN-G本社の茅 昌鋒。中国語を母国語とし、日本語と英語を流ちょうに話し、10年以上のmcframe GAの導入コンサルティング経験を持つ茅に今回のプロジェクトについて聞いてみた。

茅インタビュー

Question: 5拠点に短期間でシステム導入できた要因は?

地場企業が開発したシステムからmcframe GAへの刷新だったのですが、カスタマイズやアドオンをほとんど無しで標準機能を活用することを目指しました。お客様の業務を理解した上で、標準機能の範囲内で収まるようお客様の求めるレポート出力と運用を議論しながら仕様を決めました。また、タイ、ベトナム、マレーシア拠点への横展開も視野に入れ、標準レポートを各拠点で容易に加工できるようにしたことも、短期間での複数拠点導入につながった要因の一つだと思います。

山下インタビュー

さらに、プロジェクト全体を指揮した山下も付け加える。「どのプロジェクトでも成功するかどうかを決めるのは、お客様の組織体制や進め方です。このプロジェクトでも、九電工東南アジアの大庭様と坂井様がmcframe GAの特性を理解し、各拠点のメンバーに対してシステム導入の目的や効果をきちんと説明するなど、強力なリーダーシップの下でプロジェクトが遂行されたことが非常に大きかったです。さらには、タイは当社現地法人、ベトナムとマレーシアはパートナーによる導入といった複合チーム体制で、お客様と一緒に一拠点の導入にフォーカスし、その導入が終わると次の拠点に取り掛かるといったスケジュール管理も上手くいったと思います。」

茅インタビュー

Question:このプロジェクトを進めるにあたり、心がけたことは?

私はアジア中心、特に中華圏のお客様の導入支援を担当しています。mcframe GAの場合、複数拠点に導入することが基本となっているので、いろいろな国に出向いて、お客様の業務を理解することは当然ですが、それぞれの相手の言葉で国の文化や特性、考え方を考慮し、コミュニケーションを図るようにしています。

このプロジェクトでも、様々な国籍・人種の方々がいらっしゃいましたが、基本的には英語でプロジェクトを進め、場合によっては日本語や中国語も交えてコミュニケーションを円滑に進めることができたと思います。また、単なる言葉を通訳するのではなく、お客様の立場になって、お客様の気持ちに寄り添うように心がけました。

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